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福岡地方裁判所 昭和60年(わ)149号 判決 1985年7月19日

本籍

佐賀県多久市東多久町大字別府四七五八番地

住居

福岡県筑後市大字山ノ井七五四番地の二

電気工事業

池口楠男

大正一〇年一一月五日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官武部正三出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一〇月及び罰金一二〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判の確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、福岡県筑後市大字山ノ井七五四番地の二において電気工事業を営んでいるものであるが、自己の所得税を免れようと企て、小口工事の売上の一部を除外し、仕入及び経費を水増し又は架空計上するなどして簿外預金を蓄積したり、有価証券及び金地金等を購入するなどしてその所得を秘匿した上

第一  昭和五六年分の実際所得金額が五、二一四万七九九円あったのにかかわらず、昭和五七年三月一一日、福岡県八女市大字本町五一〇番地所在の八女税務署において、同税務署長に対し、同五六年分の所得金額が一、七四七万八、八〇六円で、これに対する所得税額が五二四万七、六〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同年分の正規の所得税額二、三四二万七、〇〇〇円と前記申告税額との差額一、八一七万九、四〇〇円を免れ

第二  昭和五七年分の実際所得金額が五、二九一万六、五二一円あったのにかかわらず、昭和五八年三月一一日、前記八女税務署において、同税務署長に対し、同五七年分の所得金額が一、七三六万五、九〇二円で、これに対する所得税額が五〇九万九、六〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同年分の正規の所得税額二、三八九万七、〇〇〇円と前記申告税額との差額一、八七九万七、四〇〇円を免れ

第三  昭和五八年分の実際所得金額が五、二三八万八、一六五円あったのにかかわらず、昭和五九年三月一二日、前記八女税務署において、同税務署長に対し、同五八年分の所得金額が一、七四七万三、六二二円で、これに対する所得税額が五〇八万四、一〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同年分の正規の所得税額二、三七一万五、四〇〇円と前記申告税額との差額一、八六三万一、三〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の大蔵事務官(一四通=検24ないし37号)、検察官(検38号)に対する各供述調書

一  西野美智子(七通=検7ないし13号)、栗原利行(二通=検14、15号)、小出彰(検16号)、松延隆男(検17号)、西川静利(検18号)、曽根耕造(検19号)、松岡募(二通=検20、21号)、堀川輝明(検22号)、箱田敏雄(検23号)の大蔵事務官に対する各供述調書

一  検察事務官作成の「所得税確定申告書写しの作成について」と題する書面

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書説明資料(検6号)

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(検3号)

判示第二の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(検4号)

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(検5号)

(法令の適用)

判示各所為 所得税法二三八条一項、二項

刑種の選択 各所定刑中懲役刑と罰金刑とを併科

併合罪の処理 刑法四五条前段、懲役刑につき四七条本文、一〇条、罰金刑につき同法四八条二項

(懲役刑につき犯情の最も重い判示第二の罪の刑に加重、罰金刑については罰金額を合算する。)

労役場留置 刑法一八条

懲役刑の執行猶予 刑法二五条一項

よって、主文のとおり判決する。

昭和六〇年七月三一日

(裁判官 中野久利)

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